家を売った翌年は、会社員でも自分で確定申告をする必要があります。利益が出た人はもちろん、3,000万円特別控除などの特例を使って税金が0円になる人も申告が必要です。逆に、損が出た人は申告すると給与の税金が戻ってくることもあります。
この記事では、申告が必要かどうかの判断、期限、そろえる書類、申告書の作り方を順番に解説します。税額の計算方法は譲渡所得税の計算方法で詳しく説明しています。
※2026年11月時点の法令(国税庁タックスアンサー:令和8年4月1日現在の法令等)をもとに作成しています。特例が使えるかどうかは個別の事情で変わるため、最終的には税務署や税理士にご確認ください。
確定申告が必要な人・不要な人
| 売却の結果 | 確定申告 |
|---|---|
| 利益が出た(特例を使わない) | 必要(税金を納める) |
| 利益が出たが、特例で税金が0円になる | 必要(申告しないと特例が使えない) |
| 損が出て、損益通算の特例を使う | 必要(給与などの税金が戻る可能性あり) |
| 損が出て、特例の条件に当てはまらない | 原則不要(会社員など、ほかに申告の理由がない場合) |
「利益」とは、売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いた金額です。売却価格が買ったときより低くても、建物の減価償却を差し引くと利益が出ていることがあるので、必ず計算してから判断しましょう。
申告と納税の期限
家を売った年の翌年2月16日〜3月15日が申告期間です。2026年中に売った(引き渡した)場合は、2027年2月16日(火)〜3月15日(月)です。納税の期限も3月15日です。
「いつ売ったか」は原則として物件の引き渡し日で判断します(売買契約の効力発生日を選ぶこともできます)。年末に契約して年明けに引き渡す場合は、どちらの年の申告になるか注意しましょう。
期限を過ぎると無申告加算税や延滞税がかかるほか、損失の繰越控除のように期限内の申告が条件になっている特例もあります。なお、税金が戻ってくるだけの申告(還付申告)は、2月16日より前の1月から提出できます。
そろえる書類チェックリスト
どの人も必要なもの
- 確定申告書(第一表・第二表)と分離課税用の第三表
- 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]
- 売ったときの売買契約書の写し
- 買ったときの売買契約書の写し(取得費の計算に使う)
- 仲介手数料・印紙税・測量費などの領収書(譲渡費用)
- 購入時の仲介手数料や登記費用などの領収書(取得費に含められるもの)
- 会社員は源泉徴収票、マイナンバーがわかるもの
特例を使う人が追加で必要なもの
| 特例 | 主な追加書類 |
|---|---|
| マイホームの3,000万円特別控除 | 住民票の住所と売った家の所在地が違う場合は戸籍の附票の写しなど |
| 10年超所有の軽減税率 | 所有期間がわかる登記事項証明書など |
| 相続した空き家の3,000万円特別控除 | 市区町村が発行する「被相続人居住用家屋等確認書」、耐震基準適合証明書など |
| 住宅ローンが残る家の譲渡損失の特例 | 譲渡損失の明細書、計算書、売買契約日の前日時点のローン残高証明書など |
| 買換えの譲渡損失の特例 | 上記に加えて、新居の登記事項証明書や年末のローン残高証明書など |
登記事項証明書は、申告書に添付する明細書に不動産番号を書けば省略できる場合があります。特例ごとの条件は家の売却で使える特例・控除一覧にまとめています。
申告書を作る6つのステップ
ステップ1:売却価格と譲渡費用を確認する
売却価格は売買契約書の金額です。固定資産税の精算金を買主から受け取った場合は、売却価格に含めます(固定資産税の精算参照)。譲渡費用には仲介手数料、売買契約書の印紙税(印紙税の金額参照)、測量費、建物の取壊し費用などが入ります。ローンの繰上返済手数料や抵当権抹消の費用は譲渡費用に入りません。
ステップ2:取得費を計算する
土地はそのまま購入価格、建物は購入価格から減価償却費を差し引きます。マイホーム(事業に使っていない建物)の減価償却費は次の式で計算します。
減価償却費 = 建物の購入価格 × 0.9 × 償却率 × 経過年数
| 構造 | 非事業用の耐用年数 | 償却率 |
|---|---|---|
| 木造 | 33年 | 0.031 |
| 鉄骨鉄筋コンクリート・鉄筋コンクリート | 70年 | 0.015 |
例:木造の建物を2,000万円で買い、10年住んだ場合、減価償却費は2,000万円×0.9×0.031×10年=558万円。建物の取得費は1,442万円です。経過年数は6か月以上を1年、6か月未満を切り捨てて数えます。
買ったときの金額がわからない場合は、売却価格の5%を取得費にできますが、税金が大きくなりがちです。古い契約書や通帳の記録、住宅ローンの書類などで購入価格を探してみましょう。
ステップ3:所有期間を確認する
売った年の1月1日時点で5年を超えていれば長期(20.315%)、5年以下なら短期(39.63%)です。相続した家は亡くなった人が買った日から数えます。
ステップ4:申告書を作る
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使うと、画面の案内に沿って金額を入れるだけで、譲渡所得の内訳書と申告書が作れます。3,000万円控除などの特例も、画面で選ぶと自動で計算されます。
ステップ5:提出する
マイナンバーカードがあればe-Taxでそのまま送信できます。印刷して税務署へ持参・郵送することもできます。郵送の場合、添付書類の写しを同封します。
ステップ6:納税する
税金が出る場合は3月15日までに納めます。振替納税(口座引き落とし)を利用すると、引き落としが4月中旬〜下旬ごろになります。住民税は申告内容をもとに市区町村が計算し、6月ごろに通知が届きます。
よくある質問
Q. 会社の年末調整で済ませられますか?
できません。家の売却による所得(譲渡所得)は年末調整の対象外なので、自分で確定申告をします。
Q. 売却の翌年、住民税や国民健康保険料は上がりますか?
課税される譲渡所得があれば、翌年度の住民税(長期5%・短期9%)がかかります。国民健康保険料も譲渡所得をもとに計算されるため、上がることがあります。特例で課税所得が0円になれば、通常は影響しません。
Q. 共有名義の家を売ったら?
共有者それぞれが自分の持分について申告します。3,000万円控除も、住んでいた人ごとに使えます(3,000万円特別控除の詳しい条件)。
Q. 相続した家を売ったときは?
手順は同じですが、取得費は亡くなった人が買ったときの金額を引き継ぎます。相続税を払っていれば取得費に加算できる特例もあります。相続した家を売るときの税金をご覧ください。
まとめ
- 家を売った翌年2月16日〜3月15日に確定申告をする(2026年の売却なら2027年3月15日まで)
- 特例で税金が0円になる人も、申告しないと特例が使えない
- 譲渡所得の内訳書と、売った・買ったときの売買契約書、費用の領収書が基本の書類
- 建物の取得費は減価償却費を差し引いて計算する
これから売る方は、売却価格の見込みがわかると税金も早めに見積もれます。
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